ベジるビバる

ゆうがたヨクサルのブログ

正解なんてなかった

小学生の頃、日曜日の朝に「今から鋸山に行くから支度しなさい。」と母に言われた。家族サービスなのか両親が行きたがったのか分からないんだけど、千葉県の鋸山に遊びに行くらしい。何処かに出かけるなんて、滅多になかったからへぇーと思った。

 

のこぎりやま?なにそれ。

フェリーに乗って、ロープウェイで山を登るんだよ。

ふぇりぃ?なにそれ。

船だよ。いいから支度しなさい!

 

ふぇりぃと呼ばれる船に乗って、何があるのか分からない山にロープウェイで登るのか。のこぎりのやまなんて、なんだか痛そうで怖そうだ。

コレだけの情報で、支度しなさいと言われたが、当時の自分と弟はよく分からなかった。

まあ持ち物なんて、ハンカチとポケットティッシュぐらいだろうよ。と考えて、小さなショルダーバッグとゆーか、動物の顔の形になってるポシェットに詰めて弟にも同じようにポシェット肩にかけてやって、上着を手に持ってから母の前に行ったら怒られた。

 

違う!なんでそんな格好なの⁈もっとマシなカバンに替えなさい。と。

 

違うのかー。マシなカバンって何だろう…

のこぎりやまで、ふぇりぃでロープウェイに似合うカバンって何だろう。って考えた。

 

子供だから、そんなに沢山カバン持ってる訳でもない。殆ど使ってなかったクシャクシャのおもちゃみたいな小さなリュックに中身を詰め替えて、弟にも同じようにリュック背負わせて、上着を手に持って再び母の前に行ったらまた怒られた。

 

何やってんのーっ‼︎そんなみっともない格好で出かけれないじゃないの!あんた達を待ってんのよ⁈遅くなっちゃうから早くしなさい!

 

もう分かんねぇなぁー。と感じながらとにかく考えた。弟は半泣きでオロオロしてるし、自分の支度を真似することしか考えてない。

やま…やまでロープウェイでふぇりぃだ。ハンカチとポケットティッシュだけだと怒られる。なんだ?必要な物で母が怒らないものって何だろう。と考えた。

お腹空いたら食べる用の飴、水で濡らして絞ったハンドタオルをプラスチック製のおしぼりケースに入れたもの。乗り物酔いした時に使うビニール袋と紙袋。転んで怪我した時に使う絆創膏。

あとは…あとはカバンだ。マシでみっともなくないやつで、怒らなそうなやつ。もう他のカバンなんて殆ど残ってない。ランドセルか習い事に行くときに使う紺色の手提げカバンぐらいだ。

 

仕方ない。どう見てもこれからレジャーに行く様には見えないが、ノートや筆箱や教則本的な物が入ってそうな紺色の手提げカバンに、ハンカチとポケットティッシュと飴とおしぼりとビニール袋と紙袋を詰め込んで、弟にも同じように用意させて、母の前に行ったら…

怒られなかったけど、もういいわ、それで行きたいなら勝手にしなさい‼︎時間ないから。と言われた。

 

あー、正解じゃなかったんだな。勝手にしなさいかぁ。と思った。何が悪かったのか、未だに分からないし、なんで彼女があんなに怒っていたのかも分からない。そもそも正解なんて、なかったのかもな。

 

そのあとは、横須賀の久里浜港からフェリーに乗って、ロープウェイに乗って鋸山の山頂から天気悪くて視界がよく見えない、ぼんやりした風景を見たような、みてないような。

いったい何しに行ったんだろう。あんまり記憶にない。

 

記憶にあるのは、母がやたらに機嫌が悪かったこと、自分達で支度をしたけど、やればやるほど分からなくなって、違和感を感じたこと。フェリーの室内ベンチに不似合いな紺色の手提げカバンがポツンと置かれていたこと。

 

今朝の通勤電車の中で、内観瞑想していたら、ふと、このときのことを思い出した。なんでかなぁ。