ベジるビバる

ゆうがたヨクサルのブログ

鉢植え3つ

職場の休憩室に観葉植物の鉢植えが3つある。

8年か9年前だかに会社で購入したもので、就業前の清掃タイムに担当の人が、空のペットボトルに水を入れて鉢植えにかけているだけ。

 

これといって剪定も栄養剤も、土替えや鉢替えもしないまま、伸びるままに放置状態だったから(たぶんマダガスカルジャスミンだと思うが)蔓を伸ばすだけで下の方は枯れて花は咲かなくなった。ゴツゴツした茶色く枯れたような蔓だけが残ってた。

壁の近くに置いてあるポトスの蔓は、無理やり支柱に巻きつけていたけれど、ゴテゴテと溢れて飽和状態になり、いつの間にか壁に向かって這うように茂った。根っこみたいな突起が出てきて、壁にがっちり張り付く姿はなんとも気持ち悪かったらしく、誰も触ろうとしなかった。

ゴールデンプリンセスという名前の斑入りベンジャミンは、隙間だらけの枝葉を伸ばして150センチの高さになってた。同僚たちは伸びた枝葉をよけるように休憩室の椅子に座る。すれ違うときに当たるとポロポロ簡単に葉っぱが落ちる。

 

誰も手をかけようとしない。

 

「枯れちゃってるねぇ」「掃除のとき邪魔だよねぇ」「かわいそうにねぇ」と言葉だけはこぼす。仕事が忙しいから手入れに時間をさけない。言われてないからやらない。誰が担当するか決まってないからやらない。目立つことをしたくない。そもそもどうやって手入れするのかもわからない。

鉢植えも、皆んなもどっちも不幸だなぁ。と思ってた。この何年もの職場の雰囲気を見事に表現してる鉢植えだった。自分だって、見て見ぬ振りをして何年も放置してたんだよな。鉢植えも職場の雰囲気も。

 

 

今年の春に、鉢植えを処分するか希望者に持ち帰ってもらうことを自分から提案した。職場のひとたちは「棄てる」のは気がひけるようだったけど、持ち帰りたい希望者はいなかった。

破棄するにあたって、先ずは伸び放題のベンジャミンの枝葉をハサミでカットしながら捨てていった。コレは自分の仕事の隙間時間の五分とかを使って、何日かに分けてやった。でも先端や途中迄はハサミでなんとかカットできるんだけど、幹から近い部分はノコギリかなんかじゃないと無理そうだった。続きはまた今度。

ふた回りほど小さくなった丸裸のベンジャミンは側から見ると可哀想なのか、職場の人達から何度か「本当に捨てちゃうの?」って言われた。何を今更。

 

仕事が忙しかったのと休憩室の他の備品整理を隙間時間に自分がやっていたので、鉢植え廃棄の件は2週間くらい放置していたら、若葉と新芽が出てるのに気づいた。完全に枯れてると思ってたからびっくりした。皆んなにそのことを伝えると鉢植えに集まってわー凄い〜!ってニコニコしてる。なんだろうこれ。

いや、棄てるからな!ノコギリ無けりゃないでへし折ってごみステーション持ってくからな!って思ってたんだけど、アレヨアレヨと言う間に、何枚もの若葉がカットした枝から伸びてきたのを見たり、皆んながその度にニコニコ楽しそうになるのを見ていたら、もういいや。って思ってきた。

 

茶色い汁を滲ませながら壁に張り付いて気持ち悪いと嫌がられていたポトスは、バリバリ剥がして壁を拭いて、支柱から蔓をほどいてガンガンカットした。支柱が太くてコレもノコギリ的なものじゃないと小さく廃棄できる状態にならなかったから土に近い部分の葉っぱ2枚だけ残して放置していたら、またまた新芽が出てきてしまった。

同僚たちはキャーキャー楽しそうにする。なんだろうこれ。

 

ガラスショーケースの上にあった立ち枯れジャスミンも時間の合間を縫って、おりゃおりゃハサミでカットして葉っぱと蔓をすてた。あとは土と鉢と支柱をゴミ袋に入れるだけ。

なのに…それなのに、休み明けの休憩時間に新芽が出てる!って同僚が発見してしまった。ジャスミン、お前もか…

 

丸裸の立ち枯れ観葉植物の鉢植えは、その頃の職場の雰囲気を表現していたのと同様に、新芽や何枚かの若葉が生えてきたときも、その頃の職場の雰囲気を表現していた。今迄の決まりごとや馴れ合いの習慣を変えることになっていたから。最初は皆んな戸惑ってたけれど徐々に変化を受け入れてそれぞれが自分たちで考えて改善するようになっていたから。

 

今日も、休憩室には観葉植物の鉢植えが3つある。程よく整ったサイズで、みずみずしい葉っぱと蔓が育ってる。

うまく言えないんだけど、ひとつの寄り添い方というか、手の掛け方のようなものを教わったみたいに感じてる。