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ベジるビバる

ゆうがたヨクサルのブログ

トンレンが上手でした

実家は生き物を飼う環境ではなかったから、猫や犬や鳥やウサギを飼ってる近所の友達の家に遊びに行ったときに見せて貰う程度だった。

慣れてないのもあって、触ってみたい気持ちはあるけれど、怖い気持ちもあった。

ある友達の家には、クロって名前のメスの犬がいた。結構大きくて、少し長めの毛皮で全身真っ黒だった。家の子供達と仲が良くていつも遊んでる。

 

通りに面した庭のフェンスのところに、木材と金網で作られたクロのための小屋があった。

自分は、友達に用事がないのに時々、クロに逢いに行った。

自分が来たのが分かると、大きな尻尾をブンブン振りながらこっちみてる。

1メートルくらい近くに寄る頃には、通りに面したフェンスに背中を押し付けるようにゴロンと寝そべる。

それから自分はしゃがんで、フェンスの網目から手を通してクロの背中を撫ぜるのだ。

クロは暖かくてフサフサで、心臓の音がトトトってしてる。息をするたびにお腹と背中の肉が隆起する。

目は優しくて時々ハアハア息をする。

自分のほうをみたいなぁ。とか、撫でてくれてる手の匂いを嗅ぎたいなぁ。と思うのか分からないけど、時々こっちを向いて鼻を近づけるんだけど、当時の自分はその程度でも怖くて手を引っ込めてしまう。

クロは賢いから、「怖くないよ、何もしないよ。じゃあそっち見ないから好きなだけ撫でてなさいよ。」って感じでいつまでも背中をフェンスに押し付けたままジッとしてくれていた。

 

自分は、クロには何も話しかけないんだけど、撫でてるだけでとても満ち足りた気分になった。

何分かそうやってから立ち上がると、クロも立ち上がってこっちを見ながら大きな尻尾をブンブン振りながら見送ってくれる。

何回かそんな事を続けていたけど、友達にも会わないのに、よその家の犬を触ってるのを親から叱られたからやめてしまった。

 

クロは賢いから、相手が怖がらないように、相手が何を求めているかを察して、自ら先にそのように振舞ってくれた。

自分は、「そのように自ら先に振舞ってくれた」とゆー行為がとても嬉しかったんだ。

クロは優しくて賢いから、自分の気持ちも埋めてくれた。あの時はありがとう。

クロはトンレンが上手でした。