ベジるビバる

ゆうがたヨクサルのブログ

ラッパを吹く係り

「おじいちゃんはね、ラッパを吹く係りだったから、今こうしてゆうがたヨクサルと暮らせてるんだよ。」

自分が4歳頃に、祖父が話してくれた。

自営業をしていたので、午後になるとひと段落ついて祖父が二階の居間で昼寝をする。
仕事の邪魔になるから、自分はいつも二階の居間にいて、ボーッとしてるか、ぬいぐるみで独りで遊んでいた。
祖父が昼寝をしている時は、騒がしくしない様に気を付けた。
目を覚ますと、自分と一緒に時代劇か海外ドラマを観た。自分はこの時間がとても好きだった。

ある時、何の拍子か分からないけど祖父が戦争に行った事があるんだよ。と話し始めたのだ。
身体がヒョロヒョロ細かったから、力持ちじゃないし、強くもない。
しょうがないから、任された仕事がラッパを吹くことだったんだよ。みんなを集めたり、寝ているのを起こすんだ。

何かを始めるとか、ココでこうするって合図になる音だから、ラッパを吹くのは大切なんだよ。大切な係りは、怪我をしない様に安全な場所にいるんだ。
戦争で皆んなが相手と戦ってる時に、おじいちゃんはね、とても後ろのほうにいたんだよ。

自分は、祖父の話す言葉があまり理解出来ずに、ただ頷いて聴いていた。多分ほんの数分の出来事だ。

祖父が戦争の話を自らしたのは、この時だけで、自分もその頃の話を尋ねる事もしなかった。
もっとよく話を聴いておけば良かったと考える。

必要な事と、自らの気持ちを静かに短く話すくらいしか普段しなかった祖父が、淡々と話してくれたのだ。体験した事そのままを口に出してる感じの話し方だった。

「おじいちゃんはね、ラッパを吹く係りだったから、今こうしてゆうがたヨクサルと暮らせてるんだよ。」

ラッパを吹く係りじゃなかったら、自分は産まれて来なかったかもな。